「うちの会社は業績がいいから、関係ない」。そう考えている技術者の方は多いと思います。けれど今、業績が好調な企業でも、人員の見直しが進んでいます。会社の判断は、個人の努力とは別のところで決まります。だからこそ、自分の経験を社外でも通じる言葉で説明できることが、技術者にとっていちばんの備えになります。
早期・希望退職を募集した上場企業の6割が黒字
東京商工リサーチが2026年10月に公表した集計によると、2026年1〜9月に早期・希望退職の募集が判明した上場企業は22社、対象人数は5,345人でした。社数・人数とも前年同期は下回りましたが、注目したいのはその中身です。
22社のうち、黒字企業は14社で63.6%を占めます。業種では製造業が20社と9割にのぼり、なかでも電気機器が8社で最も多くなりました。理由としては、構造改革や不採算部門の整理、年齢層の適正化、技術革新に伴う人員のミスマッチなどが挙げられています。
出典:東京商工リサーチ「1-9月の上場企業『早期・希望退職募集』」(2026年10月3日公表、速報値)。
業績が悪いから人を減らすのではなく、業績が良いうちに事業の組み替えを進める。こうした動きは「黒字リストラ」とも呼ばれ、ここ数年で定着しつつあります。同じ集計でも、この秋以降に募集が再び増えることへの懸念が示されています。
会社の判断は、個人の努力とは別のところで決まる
事業の組み替えは、多くの場合、事業や部門の単位で決まります。どれだけ担当製品に詳しくても、どれだけ社内で頼られていても、その事業そのものが見直しの対象になれば、個人の努力では動かせません。
一方で、技術者の経験そのものが求められなくなっているわけではありません。dodaの転職市場予測(2026年下半期)では、電気・機械エンジニアの求人は引き続き好調が見込まれ、機械系では「仕様検討から量産までの経験」などが求められているとされています。
出典:doda「転職市場予測2026下半期 電気・機械エンジニア」(2026年7月公開)。
起きているのは、経験の価値が下がることではなく、経験が活きる場所が組み替わっていることです。そのときに差がつくのは、自分の経験を、今の会社の外でも通じる言葉で説明できるかどうかです。
技術者の経験は、社内の言葉でできている
ところが、ここが技術者にとって最も難しいところです。専門性が深いほど、知識は自社の製品や設備、組織を前提にしたものになります。社内の略語、社内の手順、社内の評価の物差し。社内では通じる説明が、社外では伝わりません。
さらに、守秘義務で具体的に書けないこと、チームでの成果で自分の貢献が見えにくいこと、成果を数字で持っていないことも重なります。いざ社外の人に説明しようとしたとき、「何をやってきたのか」がうまく言葉にならない。多くの技術者の方とお話ししてきて、ここでつまずく方を本当によく見てきました。
そしてこれは、追い込まれてから急に整えられるものではありません。気持ちに余裕のない状況では、自分の経験を落ち着いて振り返ること自体が難しくなるからです。
「社外で通じる言葉」にするための3つの問い
社外で通じる言葉とは、製品名や社内用語ではなく、「どんな状況で、何を判断し、どう人を動かしたか」という仕事の進め方のレベルで語れる言葉です。次の3つの問いから始めてみてください。
その仕事では、何が決まっていなくて、誰の判断で前に進めたか
社内外の誰と、どんな利害を調整して、何を合意したか
その経験を、製品名を使わずに業界の外の人へ説明するとどうなるか
たとえば「量産準備で、設計と製造の条件をすり合わせた」という経験は、「立場の違う部門が、同じものを見て決められる形をつくれる」と言い換えられます。こうして言い換えた経験は、別の会社や別の業界でも通じる強みになります。
言葉にした結果、今の会社で役割を広げるのが最善だと分かる方もいれば、社外にも選択肢があると分かる方もいます。どちらが正解ということはありません。大切なのは、会社の判断を待つのではなく、自分で選べる状態にしておくことです。
一人で言葉にするのが難しいときは
自分の経験を、自分で社外の言葉に置き換えるのは簡単ではありません。当たり前にやってきたことほど、その価値に気づきにくいからです。
株式会社キャリアウェルビーイングでは、質問に答えていくことで、経験とこれからを言葉にする診断プログラム「技術者の『次の10年』設計」をご用意しています。強み、目指す姿、このまま進んだ場合の見通し、必要な環境、10年後までの道筋を、一冊の資料にまとめてお渡しします。
なお、このプログラムを受けていただいた方には、弊社から求人をご紹介することはできません。
CAREER WELL BEING
会社の判断を待つ前に、自分の経験を言葉にしておく。
質問に答えていくことで、強みや目指す姿、必要な環境を一冊の資料にまとめます。